転職市場で合言葉のように言われていた言葉が「35歳の壁」だ。けれども2017年300万人を超えた転職者の内、中高年の転職者数は大幅な伸びを見せている。
中には積極的に中高年を活用しようという企業も見られ、しかも異業種からの転職を歓迎する傾向も強い。これは異なる価値観を持っている人を採用することで、企業に風穴を開け、社員のモチベーションを上げることを期待してのことだ。これによって生産性が高められると考えている。
そしてどの業種も人手不足に困っている状況にあり、実際は若手を採用したいところだが足りずに中高年も採用する、という企業も少なくない。その結果、35歳の壁は40歳の壁に移行しつつあり、近い将来45歳の壁になる可能性もある。
異業種や異職種への転職者が増えている背景には、産業構造の変化が見られる。これまで製造業中心だったのが、IT業やインターネット業、サービス業などへ変化しているため、転職においても業種を変える向きがあるのだろう。また、大企業では人材過多傾向にある一方で、ベンチャー企業や中小企業ではベテラン人材不足傾向にある。したがって中高年が適材となる企業は少なくないことがうかがえる。
業種に関係なく融通が利く能力を「ポータブルスキル」として、体質を変えたいと考える企業や、競争力を高めたい企業などがこれに目を付けている。中高年は自身が持っているポータブルスキルを伸ばして強みに変えることが、転職を成功させる鍵となるだろう。